三菱地所パークス株式会社

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2023.12.18 メルマガ

複合施設・商業施設の駐車場渋滞を解決するための5つの視点

新しい開発においては、設計段階から渋滞を緩和するための方法を事前に検討することが可能ですが、 すでに開業している「既存施設」では、いま目の前で発生している渋滞をどのように解決すれば良いのかという「実効性」が求められます。
「渋滞」に関して、どのように課題を発見し、解決できるのかについて書いていきたいと思います。

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最優先すべきは出庫渋滞の解消

商業施設などにおいて、週末には数百メートルの入庫待ち車列が道路上に発生してしまうケースがあります。 一般的に、入庫待ちが発生する原因は、「駐車場内が満車で入れない」ことが挙げられます。しかし、「満車」時の駐車場内の実際の状態としては、 入庫したい車両と出庫したい車両が交錯して混雑していることが多く、本当に満車で動かなくなっている駐車場はレアケースです。 出庫したい車両を円滑に駐車場内から出すことができれば、空き車室が生まれ、入庫したい車両も早く駐車できることが可能になります。
私たちが渋滞に関するコンサルティングを実施する際には、出庫渋滞の原因の特定から始めます。 出庫渋滞の原因は、駐車場内にあるのか、出庫口に問題があるのかなど原因を見極めた上で、具体的な対策を考えていきます。

道路が原因の渋滞を解決する

前述した「出庫渋滞」の原因で多いのが、「出庫口から道路にでられない」という問題です。
前面道路が渋滞していて出庫口から道路に出られないため、徐々に駐車場内も渋滞が発生するケースです。前面道路が渋滞している原因はさまざまですが、信号が近く、青信号で道路上の車両が処理しきれない場合や、施設自体の出庫口と入庫口が近いため入庫待ち車両と出庫車両が交錯してしまうなど、さまざまな原因があります。
この問題を解決するためには、駐車場のオペレーション計画を見直して、出庫車両の誘導方法と入庫車両の誘導方法を見直すことで解決する場合もあります。
しかし、このようなオペレーションの改善による解決方法を検討・実施しても解決できない道路が原因の渋滞の場合、当社では、「警察をはじめ関係する官公署」に「社会実験」を働きかけることもあります。「社会実験」とは、現在の道路の通行ルールを一時的に変更し、渋滞解消に寄与するかを検証する手法です。例えば、片側1車線の両面通行道路を1日だけ一方通行に変更し、渋滞がどれだけ解消されるのかを実施調査します。 この結果、明らかに渋滞がスムーズになったことが確認された場合、管轄警察によって交通ルールを順次改訂していただくといった方法です。このように、道路が原因である渋滞の場合、行政や地域の皆さんと協調して社会実験の実施を警察に働きかけをすることも当社のコンサルティング業務のひとつです。

再開発における廃道と新道について

市街地再開発では、駅前の道路を改善する設計を計画することがあります。目的としては、現状の道路付けでは、開発される施設が大型化できないなど、建築側の意図もありますが、現在の道路は、その土地で暮らしている皆さんが慣れている道路でもあります。したがって、廃道とともに新設された道路によって、一時的な渋滞が発生する場合や、恒常的に渋滞が生み出されてしまうケースもあります。
警察協議によって承認された道路であっても、本当に生活者が使いやすい道路計画となるのか、駐車場の出入口との位置関係によって、渋滞が発生する可能性がないのかについては、別の視点で検討する必要があります。
当社では、開発される施設の駐車場を基点として、外周道路がどのような車両動線であるべきかを検討し、協議ステージによっては、道路計画の改善についてお手伝いをする場合もあります。

入出庫シミュレーションによるオペレーション改善

前面道路上に、複数の駐車場が立地しており、入出庫のピーク時には道路が渋滞してしまうケースがあります。このようなケースの場合、3Dシミュレーション技術を応用して、複数の駐車場からどのような時間差で何台ずつ出庫をすると前面道路の車列が渋滞せずに動き続けるのかをシミュレーションすることがあります。シミュレーションによって得られた結果をもとに、現在の駐車場誘導計画を変更することで、渋滞を緩和する対策を講じることもあります。
また、複数の駐車場が別所有者の場合は、協議体を作り、各駐車場所有者と連携したオペレーションの実現をお手伝いするケースもあります。

提携駐車場は必要なのか

整備された駐車場の収容台数を大幅に超えるクルマでの来館者がある場合、駐車場のキャパシティが明らかに不足しているケースがあります。この場合、あらたな駐車場を確保する必要があるため、周辺の施設や駐車場との提携を進めるケースがあります。
しかし、提携駐車場を一度始めると、提携駐車場へ支払うコストも発生し、提携を解消することも大きなエネルギーが必要になります。
したがって、提携駐車場を検討する前に、現在の駐車場施設で本当に渋滞が解消することが不可能なのかを事前に検討することをおすすめします。
複合施設や大型商業施設の渋滞原因はそれぞれ固有の原因があります。
渋滞に関する課題については、個別にご相談いただければ幸いです。